慈恵医大腫瘍・血液内科の入局を考えている先生ならびに学生さんへ
慈恵医大腫瘍・血液内科のホームページをご覧いただきまして誠にありがとうございます。
病院見学や入局説明会への参加がCOVID-19の流行により制限が加わってしまい、なかなか思うように情報収集ができないことが多いかと思います。
このホームページをみて少しでも血液内科・腫瘍内科・緩和ケアに興味をもってもらったらうれしいです。
最近の医局の動向はFacebook(https://www.facebook.com/jikei.oncology.hematology/)にも投稿しています。
入局説明会や病院見学で医局の内容を全て説明することは難しいため、今回当科の雰囲気やキャリアプランについてインタビュー形式でまとめましたのでどうぞご覧ください。
横山先生(医局長)へのインタビュー
慈恵医大 腫瘍・血液内科の特徴についてお聞かせください。
血液内科、固形腫瘍、緩和診療ケアと各専門医が合同にカンファレンスを行っています。常時60名前後の入院患者を診ており、急性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの造血器腫瘍を多く診療しています。26床からなる防護環境病棟(無菌病棟)があり、年間約50例の造血幹細胞移植を実施しています。2021年2月にはキメラ抗原受容体発現T細胞療法(CAR-T療法)の治療承認施設となり、造血幹細胞移植とCAR-T療法の免疫細胞療法を行うことができます。本院(新橋)、第三病院(調布)、柏病院の3病院で医局員は30名以上と大所帯ですが、相談がしやすいアットホームな雰囲気の医局です。
後期研修中の研修内容やサポート体制についてお聞かせください。
大学で定めた専門修得コースに則り、2年間は3病院で当科を含む各内科を回り、1年間は富士市立中央病院で研修します。総合内科専門医や血液内科専門医の取得に必要な疾患の診療を経験できます。専攻医登録評価システム(J-OSLER)は医局より指導医を決めて評価を行い適切に進めていきます。
後期研修終了後のキャリアプランについてはいかがですか。
総合内科専門医、血液内科専門医、がん薬物療法専門医などの専門医取得が可能です。大学院や他施設への国内留学(国立がん研究センター中央病院、がん研究会有明病院など)、キャリアアップにつながるような相談も可能です。
がんに少しでも興味のある学生や初期研修医にメッセージをお願いします。
慈恵医大は最新の免疫細胞療法が可能であり、患者さんに適切な治療計画を自施設内で完結できることが強みであると思います。血液内科だけでなく、固形腫瘍や緩和ケア診療部と連携して診療が可能で各専門医の取得が可能であることも特徴です。基礎研究、臨床研究などキャリアプランに沿った後期研修後の派遣先について相談できます。アットホームで相談がしやすい医局なので、がんに興味を持つ方からの連絡をいつでもお待ちしております。
郡司先生(指導医)へのインタビュー
腫瘍・血液内科を選んだ理由をお聞かせください。
もともとは子供の時から自分を治してくれる小児科医に憧れて医師を志しました。
しかしその意志が見事に砕かれたのが、4年生の時に受けた「腫瘍血液内科の講義」でした。とにかく先生方の講義がわかりやすく、熱意を感じ、そして移植治療やtargetを狙った治療薬の凄みが感じられ、「血液内科っておもしろくないか?」と思ったのが始まりです。その後初期研修医になった最初の研修診療科が腫瘍・血液内科であり、そこで指導医の患者さんへの熱意、治療への姿勢に感銘をうけたこと、そして治療後数日で劇的に腫瘍が縮小していくR-CHOP療法の効果を初めて医師として目の当たりにした時に「がんがここまでよくなるのか!」とやりがいを感じ、ここを専攻しようと決意しました。
指導医の仕事内容と1週間のスケジュールをお聞かせください。
現在は病棟と外来の両方を受け持っており、病棟ではレジデントや研修医の先生と診療をともにしますので、後輩たちへの指導と一方で後輩たちからの刺激を受けながら診療を行っています。基本的には週5日の病棟業務と1日終日の外来診療業務が私のスケジュールになっています。また、当科では各疾患のWorking groupが存在しており、悪性リンパ腫と多発性骨髄腫のteamに所属している私は、月に2回Group meetingを行っています。ここでは、症例の相談や治療戦略に関して先輩後輩の垣根もなく熱く議論を行っています。
国内留学を含めた後期研修終了後からのキャリアについてはどうでしたか。
当医局は国内の様々な施設で国内留学をすることができるのが強みだと思います。
私は後期研修医時代に悪性リンパ腫に興味を持ち、後期研修が終了した後にがん研究会有明病院 血液腫瘍科で2年間研修をさせていただきました。血液腫瘍科では、悪性リンパ腫・多発性骨髄腫の症例を数多く経験することができ、様々な臨床治験や米国血液学会への参加、Dana Farber cancer instituteで骨髄腫のspecialistの先生方から直接講義を受講する機会が得られました。この経験から、現在は多発性骨髄腫・悪性リンパ腫を中心に診療や研究を行っております。私はこの時期の数々の先生方との出会いと自分への刺激が、現在の自分の血液内科医としての礎になったと考えています。
指導医として大切にしていることをお願いします。
指導医という前に、医療者としてとにかくコミュニケーションをしっかりとることを大事にしています。時にはうるさいと思われているかもしれません。。でも話ができなければ何も始まりませんしこの姿勢は崩したくないと思っています。診療においてはレジデント・研修医の先生と担当患者さんの問題点を立場抜きにして話しあうことで、協力して患者さんを良くしていこう!お互いを高めよう!という姿勢で業務に臨んでいます。
将来の選択に迷っている学生や初期研修医にメッセージ
腫瘍・血液内科の領域は、「なにか難しい、とっつきにくい」と思われがちです。多分食わず嫌いです。ぜひ一度、ニュートラルな感情で触れてみてください。「お、意外と興味深いかも」と思うことがあるはずです。腫瘍・血液内科領域の治療の進歩は目まぐるしく、常に進化を続けています。そんな進歩を常に臨床で目の当たりにできるということは、専攻後に将来ずっと熱く新鮮な気持ちで診療に向き合えるということです。常に学ぶことがたくさんあり、毎日が刺激で溢れています。私たち医局スタッフとぜひ一緒に診療をともにしましょう!お待ちしています。
石井先生(指導医)へのインタビュー
腫瘍・血液内科を選んだ理由をお聞かせください。
私は家族に慢性疾患で闘病中の者がおり、日常生活の多くの時間を病気に奪われているような姿を側でみていました。こうした病気を治す仕事に就きたいというのが医師を志した理由でした。この時点で将来関わりたい具体的な疾患対象や患者像が明確ではありませんでしたので、腫瘍・血液内科医としての道を選んだのは、研修医になってからでした。理由は2つありました。
研修医として救急外来や手術室でも診療に当たりましたが、多くは病棟・入院患者診療を通して経験しました。腫瘍・血液内科の患者様が一番長く入院されていたため、一人ひとりの患者様と入院中接する時間も他の診療科より長かったと思います。そのため病気のこと以外に患者背景・生活など多くのことを把握し診療に当たることができ、最初に医師を志したときの医師像に一番近い診療科のように思いました。これが腫瘍・血液内科を選んだ理由の一つ目です。
さまざまの指導医とともに臨床経験を積みましたが、私を奮い立たせる言葉がありました。「診療は後手に回ってはいけない。患者さんの先を見据えて、常に患者さんをより良い転帰に導かなければならない」この言葉をかけてくださったのが腫瘍・血液内科の先生でした。至極当然の言葉のようですが、実践することの難しさを痛感します。先を見据えるためには正しい知識と十分な経験、冷静な判断力が求められ、そこから良い転帰を導くためには技能も問われます。この言葉を胸に一緒に仕事ができる腫瘍・血液内科の環境を選ぼうと決めました。これが腫瘍・血液内科を選んだ理由の二つ目です。
指導医の仕事内容と1週間のスケジュールをお聞かせください。
指導医は、病棟と外来診療に当たります。朝から夕方までは病棟と外来業務が中心です。夕方以降は、診療の振り返り、書類整理などを行っています。
国内留学を含めた後期研修終了後からのキャリアについてはどうでしたか。
東京大学医科学研究所附属病院に造血細胞移植診療の勉強に2年間行きました。その後は慈恵医大の附属病院で血液診療を続けています。
指導医として大切にしていることをお願いします。
事実と解釈の区別を得意にして欲しいと思っています。ちなみに私は苦手です。自分のような臨床医になってほしくないと思い、接しています。臨床の現場では、様々な疑問が生じます。その答えを探すために教科書を読んだり、論文を読んだり多くの情報に当たる必要があります。患者さんの全身状態を診察し各種検査を評価する必要もあります。その中で何が「事実」で何が「解釈」なのかを明確にしないと、つたない経験や感覚で医療が進んでしまいます。これではよりよい転帰が得られません。事実と解釈の区別が大切ですが、これには訓練が必要です。私は指導医としてこの点反面教師ですが、一緒に学んでいくべき課題として共有することを大切にしています。
将来の選択に迷っている学生や初期研修医にメッセージをお願いします。
ライフステージ、キャリアプランを見据えて将来の選択ができる人は少ないように思います。人生どこでどのような出会いとチャンスが待っているか分かりません。当科は、腫瘍内科あるいは血液内科、緩和診療の3分野に注力しているので、いずれかの分野に興味を持った時には声をかけて欲しいです。
問い合せ先
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